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    委任

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    الوكالة

    [اللغة اليابانية ]

    ムハンマド・ブン・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジリー

    محمد بن إبراهيم التويجري

    翻訳者: サイード佐藤

    ترجمة: سعيد ساتو

    校閲者: ファーティマ佐藤

    مراجعة: فاطمة ساتو

    海外ダアワ啓発援助オフィス組織(リヤド市ラブワ地区)

    المكتب التعاوني للدعوة وتوعية الجاليات بالربوة بمدينة الرياض

    1429 – 2008

    11-委任

    ● 委任とは:依頼者同様に財産の管理や処理を許される者に対して、代理の依頼をすることです。尚依頼の内容は、代理が成立する物事の範囲内でなければなりません。

    ● 委任が定められたことに潜む英知:

    委任はイスラームの美点の1つです。

    あらゆる者は他人との関係の中で、何らかの権利を有していたり、あるいは何らかの義務を負っていたりします。そしてそれらを自ら与えたり受領したりすることもあれば、あるいは他人が代わりにそれを請け負ったりすることもあります。誰もが自分のことを、全て自分で出来るとは限らないのです。

    このような中で、イスラームは他人を代理として何らかの遂行を委任することを合法化したのです。

    ● 委任の法的位置づけ:

    委任は合法な契約です。代理人、代理を依頼した者のいずれの側からも、いつでも契約破棄することが可能です。

    ● 委任は、それを表すあらゆる言葉や行いによって成立します。

    ● 委任が有効となる種類のもの:

     権利には3種類あります:

    1-委任が無条件に成立する種類のもの:契約、契約破棄、刑罰など代理可能なもののことです。

    2-委任が全く成立することのない種類のもの:タハーラ(ウドゥーなど身体を清浄にする行為)、サラー(礼拝)など完全に肉体的なイバーダ(崇拝行為)のことです。

    また酒類の購入や法的に守られた人命の殺害、財産の強奪など非合法な物事において委任することもこの内に入ります。

    3-代理を依頼する者がその遂行を阻まれる場合にのみ、委任が可能となるような種類のもの:例としては義務のハッジ(大巡礼)やウムラ(小巡礼)などが挙げられます。

    委任は、自ら物事を管理したり処分したりする権利を有する者に対して有効です。

    また売買や賃貸などの契約、あるいは離婚や奴隷の解放、イカーラ(契約における相手の失敗について大目に見ること)などの契約破棄、または刑罰における確証や執行など、代理可能な全ての物事において委任を行うことが出来ます。

    ● 委任の状態:

    委任は「あなたは1ヶ月間私の代理者です」という風に、期限を設けて行うことも出来ますし、また「私の家の賃貸期間が終了したら、売却して下さい」という風に、条件付けることも出来ます。また「今あなたは私の代理です」という風に即委任することも出来ます。一方委任の受諾は即行うことも出来ますし、遅らせることも出来ます。

    ● 委任を受けた者が、更に他の誰かにそれを委任すること:

    委任を受けた者は委任された物事を、委任を依頼した者の許可なしに他の誰かに委任することは出来ません。しかしもし委任を受けた者が委任されたことをどうしても自ら遂行出来ないような状態にある場合は、それが財産に関わる物事でない限りにおいて、許可なしに他の誰かに委任することが出来ます。財産に関連する物事に関しては、必ず委任を依頼した者の許可が必要です。

    ● 委任の解除:

    委任は以下のような理由で解除されます:

    ① 両者の内の一方の契約破棄。

    ② 委任を依頼した者が、それを受諾した者の任務を解除すること。

    ③ 両者の内の一方の死、あるいは理性の喪失。

    ④ 両者の内のいずれかが知的問題により禁治産者となること。

    ● 委任の形:

    委任は有償無償いずれでも有効です。

    委任を受けた者はその物事において信託を受けた者と見なされ、もしその物事が不成功に終わったり損害が発生したりしても、それが彼自身による問題ではなかった‐つまり彼がそこにおいて何らかの義務の遂行をおろそかにしたりせず、またすべきではないことも行ったりはしなかった‐限りにおいて、それを保障する責任は問われません。

    しかしもし委任された物事において何らかの義務の遂行をおろそかにしたり、あるいはすべきではないことを行ったりしたことで何らかの損失が生じたのであれば、委任を受けた者に保障責任が生じます。そして保障責任の疑いをかけられた者は、自らが委任された物事においていかなる義務もおろそかにはしていないことをアッラーに誓うのであれば、それは受け入れられます。

    ● 委任の受諾に関して:

     自らにその遂行能力があり、かつ自らが信頼に足る者で、委任されたことの不履行の恐れがないと判断し、またそれを受諾することによってそれより何か重要な物事をおろそかにしてしまう恐れのない者は、委任の依頼を受諾することが推奨されます。そして例えそれが有償であったとしても、純粋な意図をもって委任された物事を遂行するのならば、きっと来世における報奨が期待出来るでしょう。