離婚
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離婚①
] 日本語 [
الطلاق1
[اللغة اليابانية ]
ムハンマド・ブン・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジリー
محمد بن إبراهيم التويجري
翻訳者: サイード佐藤
ترجمة: سعيد ساتو
校閲者: ファーティマ佐藤
مراجعة: فاطمة ساتو
海外ダアワ啓発援助オフィス組織(リヤド市ラブワ地区)
المكتب التعاوني للدعوة وتوعية الجاليات بالربوة بمدينة الرياض
1429 – 2008
2-離婚
● 離婚とは:婚姻契約そのもの、あるいはその部分的解消です。
● 離婚が定められたことに潜む英知:
アッラーは、夫婦の愛情を基礎とする安定した夫婦生活の構築や子孫の繁栄のため、また人間に備わる自然な本能が満たされ、かつ夫婦が互いに慎ましくあるために婚姻を定められました。
ゆえにこれらの福利の達成に支障が生じたり、また夫婦の一方の好ましくない人格ゆえに本来の婚姻の目的が喪失してしまったり、あるいは夫婦間の性格の不一致や夫婦関係の悪化など夫婦関係の続行が困難になるような恒常的断絶に至る諸問題が発生した場合、偉大かつ荘厳なるアッラーはそのご慈悲をもって離婚という問題の解消法を定められたのです。
至高のアッラーは仰られました:-使徒(ムハンマド)よ、妻を離婚する時には規定の期間(女性が月経中でない時)に離婚宣告し、そしてイッダ(待婚期間)を計算するのだ。あなた方の主であるアッラー(のお怒りと懲罰を招くような事柄)から身を慎むのである。(離婚宣告した妻がイッダにある間は)彼女らを家から追い出したりも、(必要時以外は)外出させたりしてもならないが、明白な不貞を働いた場合は別である。これこそアッラーの掟なのだ。アッラーの掟を侵す者は、自分自身に不正を働く者。あなたはアッラーがその(1度目か2度目の離婚宣告)後に、(離婚宣告の解消という)事態(の変化)を発生させられるかもしれないということを知らないのである。,(クルアーン65:1)
● 離婚宣告する権利を有する者:
1-離婚宣告をする権利を有するのは男性のみです。というのも自らが財を投じてきた夫婦生活の継続に関してより高い関心があるのは夫の方であり、また一般的に男性は一時の感情に流されてその権利を乱用する恐れが少ないと見なされているからです。
2-自由民の男性は妻が自由民であるかどうかを問わず、その妻に対して3回まで離婚宣告をすることが出来ます。一方奴隷男性[1]は2回までしか離婚宣告することが出来ません。
● 離婚宣告の有効性:
正常な理性を備えた成人男性が自らの選択で離婚宣告するならば、それは有効となります。
但し誰かに強制されたり、また自分でも何を言ってるか分からないような酩酊状態あるいは怒りの状態にあったりする際の離婚宣告は無効です。また同様に、それが無意識や忘却ゆえのものだったり、あるいは精神的に異常がある状態で口にしてしまった離婚宣告も無効と見なされます。
● 離婚の法的位置づけ:
離婚は夫が妻の性格や態度の悪さなどに悩まされているような場合、その必要性ゆえに合法となります。そして夫婦生活は安定すべきものですから、必要性もなく離婚することは禁じられます。
また逆に妻が夫と生活することで何らかの害を蒙っていたり、あるいは夫を毛嫌いしていたりするような場合、それを知った夫が彼女を離婚することは勧められるべきことです。
また妻がサラー(礼拝)を放棄していたり、あるいは不貞を働いていたりする場合、もし彼女が忠言も受け入れず悔悟もしないようであれば、彼女を離婚するのが義務付けられます。
● 離婚宣告が禁じられる状況:
夫は妻が以下のような状態にある時、離婚宣告することを禁じられています:
① 妻が月経、あるいは産後の出血が終了していない状態にある時。
② 妻が清浄な状態にあっても、既に性交してしまっているような場合。このような時は次の月経が来るまで待ち、それが終了してから性交を挟むことなく離婚宣告するようにします。
③ 「あなたに3回の離婚宣告をする」という風に3回の離婚宣告を1回で済ませたり、あるいは1度に3回の離婚宣告を連続して言い渡すこと。
● 離婚宣告は夫本人でも、あるいはその代理人でも行うことが可能です。また代理人は夫本人から離婚宣告の時期や数を明確に伝えられていない限り、随意の時期に1度だけ離婚宣告を行うようにします。
● 離婚宣告の表現:
離婚宣告はその表現上、2種類に区分されます:
1-直接的な離婚宣告:つまり「あなたを離婚した」とか「あなたは離婚された」とかいったように、文字通りの意味にしか取れない表現による離婚宣告です。
2-間接的な離婚宣告:つまり「もう終わりだ」とか「家族のもとに行きなさい」とかいったように、別の意味にも取ることの出来るような表現による離婚宣告です。
● 直接的な離婚宣告はその意味の明確さからも、離婚発生となります。しかし間接的な表現による離婚宣告は、あくまでその表現が夫の真剣な意図を伴わない限り離婚発生とはなりません。
● 妻に対して「あなたは私にとって合法ではない」というような言い方をした場合、それは離婚宣告の意味を成しません。それは誓いの言葉と見なされ、その破棄を義務付けられる上、誓いの破棄のための贖罪をしなければならなくなります。
● 離婚宣告は、当人が真剣であっても冗談半分であっても成立します。それは婚姻を遊戯や姦計などから保護するためです。
● 離婚の形:
離婚は①即行形、②付加形、③条件形の3つの形があります。その内容は以下の通りです:
1-即行形の離婚:例えば夫が妻に、「あなたは離婚された」という風に宣告することです。こうすれば何の条件もないため、即離婚の運びとなります。
2-付加形の離婚:例えば夫が妻に、「あなたは明日離婚される」とか「あなたは来月頭に離婚される」などという風に言うことです。このような場合、定めた期日が来るまで離婚は発生しません。
3-条件形の離婚:これは夫が離婚の発生に、何らかの条件をつけることです。これには2種類あります:
① それでもって妻に対する何らかの行動や放棄、または励行や禁止、あるいは善行の強調などを意図したものです。例えばその行いを禁止することを意図して「あなたが云々の場所に行ったら、私はあなたを離婚する」という風に言えば、もしそのことが実現したとしても離婚は発生しません。但しそれが実現しても離婚しない場合、誓いの破棄の贖罪をしなければなりません。
② 条件付けた物事が発生したら、離婚の発生そのものを意図する場合です。例えばその条件の実現をもって離婚することそのものを意図しつつ、「もしあなたが私に何某と会ったら、私はあなたを離婚する」などと言うことです。そしてもしそれが実現すれば、離婚発生となります。
● マハル(婚姻の際の贈与財)を取り決めないまま離婚に至った場合に関して:
マハルが取り決められぬまま初夜前に離婚されてしまった女性には、贈り物をしなければなりません。そして経済的に豊かな男性はそれにふさわしい形の、また貧しい男性はそれなりの贈り物をします。
一方マハルが取り決められぬまま初夜後に離婚されてしまった女性には、贈り物の代わりに平均的相場のマハルが支払われなければなりません。
至高のアッラーは仰られました:-マハル(婚姻の際の贈与財)が取り決められないまま、床入り前の妻を離婚しても問題はない。但し(その代償に)、彼女に贈り物を与えるのだ。豊かな者はそれに見合った、そして貧しい者もそれに見合った、出来る限りの贈り物をせよ。それこそは善行者の義務なのである。,(クルアーン2:236)
● マハルが取り決められた後に離婚に至った場合に関して:
もし夫が初夜前、あるいは2人きりになる前に妻を離婚した場合、彼女あるいは彼女の後見人がそれを免除しない限り、取り決めたマハルの半額を支払わなければなりません。但し離婚を所望したのが妻側である場合、彼女はマハルに対する権利を全て失います。
一方離婚が初夜後のことであれば、マハルは全額支払われる必要があります。
至高のアッラーはこう仰られました:-そしてマハル(婚姻の際の贈与財)は取り決めたものの床入り前に妻を離婚した場合には、彼女かその後見人がそれを免除しない限り、取り決めたものの半額分を支払うのだ。そしていずれも大目に見てやることが、よりタクワー[2]に近いのである。あなた方の間の徳(男性はマハルを払い、女性側はそれを免除すること)を忘れるのではない。実にアッラーはあなた方の成すこと全てにご通暁されておられる。,(クルアーン2:237)
● もし初夜前に婚姻契約が無効であったことが判明してその男女が別れる場合には、女性側にはマハルも贈り物も義務付けられません。但し床入りが済んでしまった場合には、彼女の体を合法化してしまった理由から、取り決めておいたマハルを支払わなければなりません。