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サラー(礼拝)において余計な付け足しや欠損、あるいは疑念が発生した時、不注意のサジダが義務付けられます。その形や方法などについてご説明しましょう。

    不注意によるサジダ

    ] 日本語 [

    سجود السهو

    [اللغة اليابانية ]

    ムハンマド・ブン・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジリー

    محمد بن إبراهيم التويجري

    翻訳者: サイード佐藤

    ترجمة: سعيد ساتو

    校閲者: ファーティマ佐藤

    مراجعة: فاطمة ساتو

    海外ダアワ啓発援助オフィス組織(リヤド市ラブワ地区)

    المكتب التعاوني للدعوة وتوعية الجاليات بالربوة بمدينة الرياض

    1429 – 2008

    ⑪不注意によるサジダ(伏礼)

    ● 不注意によるサジダとは:義務か任意のサラーかに関わらず、タシャッフド(信仰告白)を伴うことなく座位姿勢の折に行われる2つのサジダのことです。尚その後にはタスリーム[1]を伴います。

    ● 不注意によるサジダが定められたことにおける英知:

    アッラーは人間を、忘却する傾向の上にお創りになりました。そしてシャイターン(悪魔)は余計な付加や欠如、あるいは疑念などによって人のサラーを何とか妨害しようと躍起になっています。そういった中で、アッラーは不注意によるサジダをシャイターンへの抑制とサラーにおける欠陥の修正、そして最も慈悲深いお方であるアッラーがご満悦されるところの行為として定められたのです。

    ● 預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)もまたサラー中の不注意から免れませんでしたが、それはこの人間の性質ゆえのものでした。それゆえにサラー中に不注意に襲われた際には、こう言ったのです:「…実に私はあなた方同様1人の人間なのであり、それゆえあなた方が忘れるように忘れもするのだ。それで私が忘れた時には、思い出させてほしい。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[2]

    ● 不注意によるサジダの原因は以下の3つです:

    ① 余計な付け足し

    ② 欠如

    ③ 疑念

    ● 不注意によるサジダには以下の4つの状態が考えられます:

    1-サラーにおける何らかの動作‐起立状態やルクーゥ(お辞儀の形の礼拝動作)やサジダなど‐を、不注意から本来の形よりも数多く行ってしまうこと:例えばルクーゥを2回行ったり、座るべき所で立ってしまったり、あるいは4ラクアのサラーを5ラクアにして行ってしまったりすることです。このような場合は余計な付け足しゆえに不注意によるサジダをしなければなりませんが、間違いに気付いたのがタスリームの前だったか後だったかを問わず、サジダはタスリームの後に行います。

     2-サラーの諸基幹の内の何かをやり損ねること:このような場合、もし次のラクアのそのやり損ねた行為と同様の箇所にさしかかる前までに思い出したら、そこまで戻ってそれをやり直し、かつそれ以降の動作も全てやり直さなければなりません。しかしもし次のラクアのそのやり損ねた行為と同様の箇所にさしかかるまで思い出さなかったら、翻ってやり直しはせず、前のラクアを無効のものと見なします。またもしタスリームの後にそれを思い出したら、そのやり直しをすべき動作とそのラクアの残りの部分だけを完遂します。いずれの場合にせよ、不注意によるサジダはタスリームの後に行います。

    例を挙げるならば、本来4ラクアのサラーを3ラクアで終わらせてタスリームしてからサラーの欠陥を思い出したという場合、タクビーラトゥ・アル=イフラーム[3]をせずに4ラクア目を開始し、それからタシャッフドをしてタスリームし、その後に不注意によるサジダをします。

    3-サラーの義務行為の内の何かをやり損ねること:例えば第一のタシャッフドを忘れてしまったような場合で、そのような時にはそのタシャッフドはやり直しません。そしてタスリームの前に不注意によるサジダを行います。

    4-ラクアの数に疑念を抱くこと:つまり3ラクア終えたのか4ラクア終えたのか分からなくなってしまうような場合で、そのような時は少ない数の方を優先して考慮します。そして不注意によるサジダはタスリームの前に行います。但し疑念を持っている2つの事柄の内、どちらか一方の可能性が強い場合にはそちらを優先して考慮し、不注意によるサジダはタスリームの後に行います。

    ● サラーにおいて定められている何らかの言葉を、その本来の場所ではない所において唱えてしまった‐例えばルクーゥやサジダ、タシャッフドの折にクルアーンを読んだりすることなど‐としても、サラーは無効になりません。またそのような際には不注意のサジダは義務ではなく、推奨された行為となります。

    ● 何らかの正当な理由によりイマームよりも1ラクア、あるいはそれ以上の遅れをとってしまった場合、その遅れた分を完遂してからイマームの動作に加わります。

    ● 不注意のサジダの際に唱えること:

    不注意のサジダの際には、通常のサジダで唱えるようなドゥアー(祈願)やズィクル(念唱)の言葉を唱えます。

    ● サラーの終了前に誤ってタスリームしてしまった場合、そしてそれから間もなくしてそれに気付いた場合、そのサラーを完遂してタスリームし、それから不注意によるサジダをします。また不注意のサジダをやるべきだったにも関わらず、それを忘れてタスリームしてしまい、かつその後に会話などのサラーを無効にするような物事を行ってしまった場合、不注意によるサジダをしてからタスリームします。

    ● もしタスリーム前の不注意によるサジダと、タスリーム後の不注意によるサジダの両方とも課される状態に陥ったら、タスリ-ム前にサジダするようにします。

    ● イマームに遅れをとっている者は、いつ不注意によるサジダを行うか?

     イマームに従う者は、イマームが不注意によるサジダをしたらそれに従います。しかしもしイマームに従う者がイマームに遅れを取っている場合で、イマームがタスリームの後に不注意によるサジダをした場合は、もしその不注意の際にイマームと共にサラーしていたのならイマームと同様にタスリーム後にサジダをします。しかしもしイマームの犯した不注意以後にサラーに参加していたのなら、不注意によるサジダはそもそも彼には課されません。

    [1] 訳者注:礼拝最後の動作で、右と左に振り向いて挨拶すること。

    [2] サヒーフ・アル=ブハーリー(401)、サヒーフ・ムスリム(572)。文章はアル=ブハーリーのもの。

    [3] 訳者注:サラーを開始する際に行うタクビールのことです。