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養育とは、年少者や精神発達障害者が独り立ち出来るようにまるまで諸々の害悪から守り、教育し、その福利のために物事を運営・監督することです。

    養育

    ] 日本語 [

    الحضانة

    [اللغة اليابانية ]

    ムハンマド・ブン・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジリー

    محمد بن إبراهيم التويجري

    翻訳者: サイード佐藤

    ترجمة: سعيد ساتو

    校閲者: ファーティマ佐藤

    مراجعة: فاطمة ساتو

    海外ダアワ啓発援助オフィス組織(リヤド市ラブワ地区)

    المكتب التعاوني للدعوة وتوعية الجاليات بالربوة بمدينة الرياض

    1429 – 2008

    10-養育

    ● 養育とは:年少者や精神発達障害者が独り立ち出来るようにまるまで諸々の害悪から守り、教育し、その福利のために物事を運営・監督することです。

    ● 子供に対する後見には2種類あります:

     1つは財産や婚姻に関する後見であり、父親が母親に優先される類のものです。

     そしてもう1つは養育や授乳のように、母親が父親に優先される類のものです。

    ● 養育における優先順位:

     養育と子供に対する配慮は、イスラームの長所の1つです。

     もし子供のある夫婦が離婚した場合、その養育に関して優先権があるのは母親です。というのも母親こそはその子供に関してより情け深く、忍耐強く、慈しみ深く、またその保育や抱き方、食事の与え方などにおいてより熟知しているからです。

    そして母親の次に子供の養育に関して優先されるのは、以下に示す通りです:

    ① 母親の母親、及びその尊属の中でより近縁な者。

    ② 子供から見て母方の叔母・伯母。

    ③ 子供の父親。

    ④ 子供の父親の母親、及びその尊属の中でより近縁な者。

    ⑤ 子供の祖父。

    ⑥ 子供の祖父の母親、及びその尊属の中でより近縁な者。

    ⑦ 子供と同じ両親を持つ姉妹。

    ⑧ 子供にとっての異父姉妹。

    ⑨ 子供にとっての異母姉妹。

    ⑩ 子供から見て父方の叔母・伯母。

    ● 養育義務の失効:

     養育義務を有する者がそれを拒否したり、またはその適性を欠いていたり、あるいはその保護下では子供の福利が達成されないような場合、養育義務は上記の優先順位に従って別の者に移行します。

     また母親が結婚した時点で彼女の子供に対する養育義務は失効し、次に優先的である者に移行します。但し結婚した夫がその養育を望む場合はその限りではありません。

    ● 養育されていた者の物心がついたら:

     1-男子は7歳に達して分別がつくようになったら、両親のどちらかを選択し、彼が選んだ方の親と一緒になります。尚彼を保育したり正しい指導を施したりすることにおいて不適格な者は、彼を養育することが出来ません。また非ムスリムがムスリムの養育をすることも禁止されています。[1]

     2-娘は7歳に達したら、そうすることでその福利の達成が見込めることと、他の妻‐もし複数の妻を有していた場合‐から彼女に害が及ばないことを条件に、父親の方に養育の優先権があります。もしそれらの条件に沿わないような場合は、養育権は母親のもとに戻ります。[2]

     3-男子は成熟して自分で物事の処理や遂行などが出来るようになってきたら、両親の内自分が望む方と一緒になることが出来ます。そして娘は結婚するまで父親のもとにいる[3]ことになりますが、彼は彼女とその母親との間の訪問を妨げることは出来ません。

    [1] 訳者注:これはハンバリー学派とシャーフィイー学派の一般的見解です。ちなみにハナフィー学派の祖アブー・ハニーファとマーリキー学派の祖マーリクは、そもそも男児に両親の選択をさせません。前者は男児が食事や着替えなどを独りで出来るようになっていれば、父親の方が優先されるとしており、後者は母親が優先されるとしています(イブン・クダーマ著「アル=ムグニー」11/415)。

    [2] 訳者注:これはハンバリー学派の見解ですが、シャーフィイー学派では一般的に女児にも選択をさせます。尚アブー・ハニーファとマーリクは、女児は結婚するまで母親と一緒にあるべきであるとしています(イブン・クダーマ著「アル=ムグニー」11/418)。

    [3] 訳者注:上記注参照のこと。