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婚姻後に起こる問題の1つに、婚姻前には明かさなかった身体的欠陥や病気の問題があります。ここではそれについて見ていきましょう。

    婚姻④

    婚姻において考慮される身体的欠陥

    ] 日本語 [

    النكاح4 : العيوب في النكاح

    [اللغة اليابانية ]

    ムハンマド・ブン・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジリー

    محمد بن إبراهيم التويجري

    翻訳者: サイード佐藤

    ترجمة: سعيد ساتو

    校閲者: ファーティマ佐藤

    مراجعة: فاطمة ساتو

    海外ダアワ啓発援助オフィス組織(リヤド市ラブワ地区)

    المكتب التعاوني للدعوة وتوعية الجاليات بالربوة بمدينة الرياض

    1429 – 2008

    婚姻において考慮される身体的欠陥

    ● 婚姻において考慮される身体的欠陥には2種類あります:

    1-性交渉を阻む類の身体的欠陥:例えば男性の陰茎切断、去勢、勃起障害、また女性の性器内癒着、性器内部あるいは周辺の瘻(ろう)、性交を阻むほどの性器内腫瘍などが挙げられます。

    2-性交渉が不可能ではないものの、それにより何らかの害悪が及んだり、あるいは性交渉に対する忌避感を催させる類の身体的疾患:例えば男女共有のものとして皮膚病、精神病、ハンセン病、性器周辺の痔疾、痔瘻(ろう)、化膿などがあります。

    ● 結婚してから夫の陰茎がないこと、あるいは性交するには十分でないほどの陰茎の一部しか残っていない事を発見した妻は、婚姻契約破棄の権利を有します。しかしもしそのことを契約前に承知していたり、あるいは床入り後にそのことについて不満を申し立てなかったりした場合、婚姻契約破棄権は失効します。

    ● 夫婦のいずれかに、以下に挙げるような性交渉に対する忌避感を催させる類の身体的疾患が認められた場合、その伴侶には婚姻契約破棄の権利があります。

    ① 皮膚病

    ② 聾唖

    ③ 生殖器の欠陥

    ④ 生殖器の化膿

    ⑤ 精神病

    ⑥ ハンセン病

    ⑦ 尿失禁症

    ⑧ 去勢

    ⑨ 結核

    ⑩ 強い口臭や体臭

     尚もしこれらのことを承知して合意の下に婚姻契約を結んだ場合には、婚姻契約の破棄権はありません。

     またこれらのことが婚姻契約後に発生した場合、契約破棄権があります。

    ● もしこのような身体的欠陥が原因で婚姻契約の破棄となった場合、もしそれが初夜前であったのであれば、男性側から女性側へのマハル(贈与財)は義務付けられません。そしてもしそれが初夜後だったのであれば、男性側は契約の際に合意したマハル(贈与財)を女性に支払わなければなりません。また、もし男性がその件で誰かに騙されていたのなら、その騙した者からマハル(贈与財)を請求できます。尚、両性具有者と判明していなかった者が結婚した場合、その契約は無効となります。

    ● もし夫が不妊症だった場合、妻には婚姻契約破棄権があります。というのも妻には子供を持つ権利があるからです。

    ● 勃起障害とは:男性器が、女性に挿入不可能な状態であることです。夫の勃起障害を認めた女性はそれが認められた時点から1年間様子を見、もしその間にそれが治らなかったら婚姻契約破棄の権利を得ます。しかし初夜前後を問わず、もしその男性が勃起障害であることを知りつつ結婚したり、あるいはそれに不満を申し立てたりしないような場合は、婚姻契約破棄権はありません。