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イーマーンの6つの基幹の内の1つ、諸使徒への信仰について簡潔に説明します。

    諸使徒への信仰(イーマーンの諸基幹)

    ﴿ أركان الإيمان الإيمان بالرسل

    ] 日本語– Japanese – ياباني [

    ムハンマド・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジュリー

    翻訳 : サイード佐藤

    校閲 : ファーティマ佐藤

    2007 - 1428

    ﴿ أركان الإيمان الإيمان بالرسل

    « باللغة اليابانية »

    محمد بن إبراهيم التويجري

    ترجمة: سعيد ساتو

    مراجعة: فاطمة ساتو

    2007 - 1428

    ④諸使徒への信仰

    ● 諸使徒への信仰とは:次の事柄を確固として信じることです:偉大かつ荘厳なるアッラーが全ての民に、かれのみにイバーダ(崇拝行為)を捧げさせ、それ以外のものの崇拝を禁じさせるべく使徒を遣わされたこと。また諸使徒は皆アッラーからの正直な使者であり、アッラーが彼らに託して遣わされたものを全て余すことなく伝達したということ。そしてその内のある者はアッラーのみがその詳細をご存知であること、などです。

    ● 諸使徒とその追随者たちの教育:

    偉大かつ荘厳なるアッラーは諸使徒とその追随者たちに対し、まず自分自身がイバーダ(崇拝行為)、タズキヤ(自己浄化)、考察、熟慮、忍耐、イスラームのためのあらゆる形での犠牲といった手段をもってイーマーン[1]を養うことに努力することを教示されました。アッラーが全ての創造主であり、その御手にこそ全てが委ねられており、またかれのみが崇拝される対象としてふさわしいということが明確に彼らの心の中に宿り、また彼らの人生においてイーマーンが十全なものとなるため、アッラーの御言葉(つまりイスラームという教え)が興隆し高きに達するべく尽力し、かつそのために様々な物事を放棄することを教えられました。そしてその次の段階としてイーマーンや正しい行いをもってモスクを建設するなど、適正な環境を形づくる事によってイーマーンを保全するよう努力することを勧められています。

    それから彼らは、イスラームの要求するもの、及び彼らがイーマーンから得たところのものが要求するものに答えるべく、努力します。彼らは、彼らがどこにあろうとアッラーが彼らと共にあり、彼らを援助され、彼らに糧をお恵みになられ、彼らを支えられると信じています。それは丁度バドルの役やマッカ開城、フナインの役などにおいてムスリムたちが勝利を得たときのような状態なのです。そして彼らは崇高なるアッラーのみにタワックル(アッラーのみに全てを委ねること)し、かれ以外の何ものにもタワックルすることはありません。それから彼らは何ものも並べることなくアッラーのみを崇拝することへといざなうべく、彼らの民や派遣された使節などの間にイーマーンを広めるのです。そして彼らにその法規定を教授し、主のみしるしを読んで聞かせるのです。

    至高のアッラーは仰られています:-かれ(アッラーのこと)こそは文盲の民に、彼ら自身の内から1人の使徒を遣わされたお方。(その使徒‐つまりムハンマド‐は)彼らにそのみしるしを読んで聞かせ、彼らを(不信仰の汚れから)清め、彼らに啓典とスンナを教示する。そして実に彼らはそれ以前、明白な迷妄の中にいたのだ。そして(ムハンマドは、彼が遣わされた民が)まだ知らない他の者たちにも(同様に遣わされた)。かれ(アッラーのこと)は強大かつ英知溢れたお方である。これこそ(アッラーが)お望みになられた者に対するアッラーの恩恵。かれはこの上ない恩恵の主である。,(クルアーン62:4)

    ● 使徒とは:アッラーが天啓法を授けられ、かつそれに関して無知な者たちに、あるいは知っていても背反する者たちに対してその伝達を命じられた者のことを言います。

    ● 預言者とは:アッラーが啓示を授けられたものの、与えられた法自体はそれ以前のものと同じものであるような者のことを言います。彼らは彼らの周囲の、元来その法に属する者たちに対してそれを教示し、かつ復興するのです。こういったことから全ての使徒は預言者であると言えますが、その逆は正しくないのです。

    ● 預言者たちと諸使徒の派遣:

    至高のアッラーが独立した1つの天啓法とともに使徒を遣わさなかったり、あるいはそれ以前の天啓法を復興させるべく預言者を遣わさなかったような民は存在しません。

    1-至高のアッラーは仰られました:-本当にわれら(アッラーのこと)は、各々の民に使徒を遣わして、「アッラーを崇拝し、ターグート[2]を避けなさい。」と命じた。,(クルアーン16:36)

    2-至高のアッラーは仰られました: -実にわれら(アッラーのこと)は導きと光を有するトーラーを下した。イスラームを受容した(イスラエルの民の)預言者たちや賢人たちや大学者たちは、それでもってユダヤ教徒たちを裁いていたのだ。,(クルアーン5:43)

    ● 預言者たちと諸使徒の数:

    預言者たちと諸使徒(彼らに平安あれ)は沢山います。

    1-彼らの内のある者はクルアーンの中でアッラーによってその名が明白にされ、かつ彼らにまつわる話も伝えられています。彼らの数は25名です。

    ① アーダム(アダム:彼に平安あれ):そして実にわれら(アッラーのこと)は以前、アーダムに(禁断の実に手をつけぬよう)命じたのだが、彼は忘れた。われらは彼の強固な意思を見出すことがなかったのだ。﴿クルアーン:20:115

    ② 至高なるアッラーは何人かの預言者と使徒たち(彼らに平安あれ)に言及され、こう仰られました:そしてそれらはわれら(アッラーのこと)が、イブラーヒーム(アブラハム)に対しその民に向けて授けた明証である。われらは望む者の地位を上げるのだ。実にあなたの主は英知に溢れ、全てを知り尽くされたお方である。そしてわれらは彼にイスハーク(イサク)とヤアコーブ(ヤコブ)を授け、両者を導いた。またそれ以前にヌーフ(ノア)も導いた。そしてその子孫であるダーウード(ダヴィデ)、スライマーン(ソロモン)、アイユーブ(ヨブ)、ユースフ(ヨセフ)、ムーサー(モーゼ)、ハールーン(アーロン)も(また導いた)。われらはこのように知識に秀で、行いの正しい者に報いを与えるのだ。またザカリーヤー(ザカリヤ)、ヤヒヤー(ヨハネ)、イーサー(イエス)、イリヤース(も導いた)。(彼らは)全て正しい者たちであった。そしてイスマーイール(イシュマエル)、アル=ヤサア、ユーヌス(ヨナ)、ルート(ロト)(も導いた)。われらは彼ら全員を、全世界において卓越した者たちとした。そして彼らの祖先や子孫、兄弟たちの内からある者たちを選び、真っ直ぐな道へと導いた。これこそアッラーのお導き。彼はそのしもべの中からお望みになる者を導かれる。そしてもし彼らがシルク[3]を犯すのであれば、彼らの(よき)行いは必ずや無に帰すであろう。彼ら(預言者と使徒たち)こそはわれらが啓典と知識と預言者性を授けた者たちである。﴿クルアーン6:83-89

    ③ イドリース(彼に平安あれ):(ムハンマドよ、)啓典の中(のこの章)から、イドリースについて話して聞かせよ。実に彼は信心深い預言者であった。﴿クルアーン19:56

    ④ フード(彼に平安あれ):アードの民は(アッラーから彼らに)遣わされた者たちを嘘つきだと言った。彼らの身内の者であるフードが彼らに対し、「一体あなたたちは(アッラーのお怒りと懲罰に対し)身を慎まないのですか?」と言った時のことを思い出せ。(フードは言った)「私は実に1人の誠実な使徒なのです。」﴿クルアーン26:123-125

    ⑤ サーリフ(彼にアッラーのご満悦あれ):サムードの民は(アッラーから彼らに)遣わされた者たちを嘘つきだと言った。彼らの身内の者であるサーリフが彼らに対し、「一体あなたたちは(アッラーのお怒りと懲罰に対し)身を慎まないのですか?」と言った時のことを思い出せ。(サーリフは言った)「私は実に1人の誠実な使徒なのです。」﴿クルアーン26:141-143

    ⑥ シュアイブ(彼に平安あれ):藪の民は(アッラーから彼らに)遣わされた者たちを嘘つきだと言った。シュアイブが彼らに対し、「一体あなたたちは(アッラーのお怒りと懲罰に対し)身を慎まないのですか?」と言った時のことを思い出せ。(シュアイブは言った)「私は実に1人の誠実な使徒なのです。」﴿クルアーン26:176-178

    ⑦ ズル=キフル(彼に平安あれ):そしてイスマーイール(イシュマエル)とアル=ヤサア、ズル=キフルを思い出せ。皆最良の者たちであった。﴿クルアーン38:48

    ⑧ ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ):崇高なるアッラーは仰られています:ムハンマドは(彼が授かった本当の彼の子でもない)あなた方の内の誰の父親でもない。しかしアッラーの使徒であり、最後の預言者なのだ。﴿クルアーン33:40)

    2また預言者たちと使徒たち(彼らに平安あれ)の中には、私たちにとってその名が不明であり、かつアッラーが私たちに彼らについて語って下さらなかった者たちもいます。そのような者たちに関しても、私たちはそのまま信仰するのです。

    ① 至高のアッラーは仰られました:そしてわれら(アッラーのこと)はあなた以前にも使徒たちを遣わした。彼らの内のある者はあなたに語って聞かせたが、ある者は語って聞かせなかった。﴿クルアーン40:78

    ② アブー・ウマーマ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アブーザッル(彼にアッラーのご満悦あれ)はこう言いました:“私はこう言いました:「アッラーの使徒よ、預言者の数は何人ですか?」(アッラーの使徒は)言いました:「124000人である。そしてその内使徒の数は315人にも及ぶのだ。」"」(アフマドとアッ=タバラーニーの伝承[4]

    ③ アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)が伝える預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)の、審判の日におけるとりなしに関する伝承の中で預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はこう言いました:「(アッラーはとりなしを乞うしもべたちにこう仰られる)“ヌーフ(ノア)のもとへ行くのだ。"そして彼らはヌーフのもとへ行き、こう言う:“ヌーフよ、あなたは地上における最初の使徒です・・・"」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[5]

    ● 最後の使徒:

    最後の使徒はムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)です。至高のアッラーは仰られました:ムハンマドは(彼が授かった本当の彼の子でもない)あなた方の内の誰の父親でもない。しかしアッラーの使徒であり、最後の預言者なのだ。﴿クルアーン33:40)

    ● アッラーはその諸使徒と預言者たちを誰に遣わされたか?

    1-アッラーは、預言者たちと諸使徒を彼らの民だけを対象にして遣わしました。崇高なるアッラーは仰られました: -そして全ての民には、その導き手がある。,(クルアーン13:7)

    2-アッラーはムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)を、全人類に向けて遣わされました。彼は最後の預言者であり使徒で、彼らの内の最良の者です。また彼はアーダムの子らの長であり、審判の日には賞讃の旗を掲げています。アッラーは彼を、全世界への慈悲として遣わされました。

    ① 至高のアッラーは仰られました: -そしてわれら(アッラーのこと)はあなたを、福音と警告を告げる者として人類全てに向けて遣わした。しかし多くの人々は知らないのだ。,(クルアーン34:28)

    ② 至高のアッラーは仰られました: -そしてわれら(アッラーのこと)があなたを遣わしたのは、全世界への慈悲ゆえに他ならない。,(クルアーン21:107)

    ● 預言者たちと諸使徒を遣わすことにおける英知:

    1-人々にアッラー以外の何かを崇拝することを禁じ、アッラーのみを崇拝することへといざなうこと。至高のアッラーは仰られました:-本当にわれら(アッラーのこと)は、各々の民に使徒を遣わして、「アッラーを崇拝し、ターグート[6]を避けなさい。」と命じた。,(クルアーン16:36)

    2-アッラーへと導く道を明らかにすること。至高のアッラーは仰られました:-かれ(アッラーのこと)こそは文盲の民に、彼ら自身の内から1人の使徒を遣わされたお方。(その使徒‐つまりムハンマド‐は)彼らにそのみしるしを読んで聞かせ、彼らを(不信仰の汚れから)清め、彼らに啓典とスンナを教示する。そして実に彼らはそれ以前、明白な迷妄の中にいたのだ。,(クルアーン62:2)

    3-審判の日、人々が主の御許に辿り着いてからの状況をつまびらかにすること。至高のアッラーは仰られました: -言え(ムハンマドよ)、「人々よ、私はあなた方に対する明白な警告者である。」それゆえ信仰し正しい行いをする者たちには、(アッラーからのご褒美として)罪のお赦しと素晴らしいお恵み(天国)がある。しかしわれら(アッラーのこと)のみしるしが実現不可能なものであると主張し続ける者たちは、地獄の業火の住人なのである。,(クルアーン22:49-51)

    4-人々に対しての立証。崇高なるアッラーは仰られました: -(われらは)福音と警告の伝達者として、使徒たちを(遣わした)。それは彼らの(派遣)の後、人々にアッラーに対する弁解の余地が残らぬようにするためである。,(クルアーン4:107)

    ● 預言者たちと諸使徒の性質:

    1-全ての預言者と使徒は、人間男性です。偉大かつ荘厳なるアッラーは彼らを他のしもべから選り抜き、選りすぐられました。そして彼らを預言者性と天啓のメッセージをもって卓越した存在とされ、また奇跡の数々によって彼らを援助されました。またアッラーは彼らを啓示によって高貴な者たちとされました。そしてその任務を課し、人々がアッラー以外のものへのイバーダ(崇拝行為)を放棄し、アッラーのみを崇拝する‐そしてその報奨は天国です‐ようにいざなうべく、メッセージの伝達を命じられました。彼らはその任務を正直かつ忠実に、余すことなく果たしたのです。

    ① 至高のアッラーは仰られました: -そしてわれら(アッラーのこと)があなた以前に遣わした者たちは、われらが啓示を授けた男たちだけである。もし知らないのなら、啓典の民に訪ねてみるがよい。,(クルアーン16:43)

    ② 至高のアッラーは仰られました: -実にアッラーはアーダム(アダム)とヌーフ(ノア)、イブラーヒーム(アブラハム)の一族とイムラーンの一族を全世界の中から選り抜かれた。,(クルアーン3:33)

    ③ 至高のアッラーは仰られました: -本当にわれら(アッラーのこと)は、各々の民に使徒を遣わして、「アッラーを崇拝し、ターグート[7]を避けなさい。」と命じた。,(クルアーン16:36)

      2-アッラーは全ての預言者と使徒に、かれに何ものをも並べることなくかれのみにイバーダ(崇拝行為)を捧げることへといざなうことを命じられました。そして全ての民に、それぞれの状況に適切な天啓法を定められたのです。崇高なるアッラーは仰られました:-われら(アッラーのこと)はあなたたちの(共同体の)各々に、法と明白な道筋を授けた。,(クルアーン5:48)

      3-至高のアッラーは預言者と使徒たちをお選びになられた際、彼らをかれの「しもべ」という最高の位階でもって形容されました。例えばアッラーは啓示という観点において、ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)に関してこう仰られています:-万有への警告者とすべく、そのしもべに識別(クルアーン)を下されたお方はこの上なく崇高で偉大である。,(クルアーン25:1)またマルヤム(マリア)の息子イーサー(イエス)に関しては、こう仰られました:-彼はわれら(アッラーのこと)が恩恵を与え、イスラエルの民へのみしるしとした1人のしもべに過ぎない。,(クルアーン43:59)

      4-全ての預言者と使徒は(彼らに平安あれ)は飲食し、忘れることもあれば睡眠もとり、病に冒されることもあれば死を免れることもない一介の人間であり、被造物です。彼らは他の被造物同様、ルブービーヤ[8]やウルーヒーヤ[9]の特質を備えてはいません。ゆえにアッラーがそうお望みにならない限り、他者に対して益したり害したりする権能を持ち合わせてはいませんし、アッラーのみが所有し管理される全ての宝庫内のいかなるものも所有する権利は有しません。そしてアッラーがお許しになられたもの以外、不可知の領域に関しての知識を得ることもないのです。

     崇高なるアッラーはその使徒ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)にこう仰られました:-言え(ムハンマドよ)、「私はアッラーがそうお望みになられたものを除いては、何かを益する力も害する力も有してはいない。もし私が不可知の領域を関知していたら、よいことばかりを集め、災難は回避することが出来ただろう。私は信仰する民への1人の警告者、福音者に過ぎないのである。」,(クルアーン7:188)

    ● 預言者たちと諸使徒の特質:

    預言者たちと諸使徒は最も心が清浄で、最も頭脳が明晰で、最もイーマーン[10]が真摯であり、かつ最も徳の優れた者たちです。また彼らは最もよく宗教を完遂し、最もイバーダ(崇拝行為)において活力があり、最も身体的に完成され、かつ最も容貌の優れた者たちでもあります。アッラーが彼らに与えられた諸々の特質には以下のようなものがあります:

    1-アッラーは彼らを啓示とメッセージの伝達のためにお選びなりました:

    ① 至高のアッラーは仰られました: -アッラーは使徒たちを、天使と人間からお選びになる。,(クルアーン22:75)

    ② 至高のアッラーは仰られました:-言え(ムハンマドよ)、「私は、あなた方の崇拝すべきものはアッラーお1人であることを啓示された、あなた方と同様の1人の人間に他ならない。」,(クルアーン18:110)

    2-彼らは、人々に信仰教義や法規定を伝達することにおいては無謬です。もし誤りを犯すようなことがあれば、偉大かつ荘厳なるアッラーが彼らを真理と正道へと連れ戻してくださいます。

    至高のアッラーは仰られました:-沈み行く星にかけて。あなた方の仲間(ムハンマドのこと)は(真実から)迷い去ったのでもなければ、誤りを犯しているのでもない。そして彼は私欲から(物事を)話しているわけでもない。それは下された啓示以外の何ものでもない。偉力並びない者(ジブリール:ガブリエル)がそれを教示したのだ。,(クルアーン53:1-5)

    3-彼らの死後、その遺産は継承されません。

    アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“私たちは遺産を残さない。私たちの残したものはサダカ(施し)なのである。"」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[11]

     4-彼らの眼は睡眠をとりますが、その心は眠りません。

     アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)がイスラーゥ(夜の旅)について語った伝承には、こうあります:「そして預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はその眼は眠っても、心は眠ることがない。同様に他の預言者たちもまたその眼は眠っても、心は眠ることがないのだ。」(アル=ブハーリーの伝承[12]

     5-死が迫った際、現世と来世の選択を提示されます。

     アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私はアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)こういうのを聞きました:“全ての預言者は(死の)病の床で、現世と来世の選択を提示される。"」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[13]

     6-亡くなったその場所において埋葬されます。

     アブー・バクル(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私はアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)こういうのを聞きました:“預言者は、死んだ場所以外においては埋葬されることがない。"」(アフマドの伝承[14]

     7-土は彼らの遺体を蝕むことがありません。

     アウス・ブン・アウス(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“あなた方にとって最良の日は金曜日である・・・"」‐そしてこの伝承の中には次のような箇所があります‐「(教友たちは)言いました:“アッラーの使徒よ、私たちの祈りがどのようにしてあなたの元に届くのですか?あなたは(死後)朽ち果てているというのに?"すると預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:“実に偉大かつ荘厳なるアッラーは、大地が預言者たちの遺体を蝕むことを禁じられた。"」(アブー・ダーウードの伝承[15]

     8-彼らは墓の中で生きており、礼拝します。

    ① アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「預言者たちは墓の中で生きておリ、礼拝しているのだ。」(アブー・ヤァラーの伝承[16]

    ② アナス(彼にアッラーのご満悦あれ)によればアッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「私は(エルサレムへの)夜の旅の際、赤い砂丘でムーサー(モーゼ)のもとを訪れた。彼は彼の墓の中で礼拝していた。」(ムスリムの伝承[17]

     9-彼らの妻は彼らが娶った後、誰とも結婚することがありません。

    至高のアッラーは仰られました: -あなた方はアッラーの使徒を害してもいけなければ、決して彼の死後その妻たちを娶ってもいけない。それこそはアッラーの御許でまたとない大きな罪なのである。,(クルアーン33:53)

    全ての預言者と使徒を信仰しなければなりません。彼らの内の誰か1人を否定した者は、彼ら全員を否定したことになるのです。また彼らに関する伝承でその正当性が確証されたものに関しては、それを信仰しなければなりません。また彼らのイーマーン[18] の真摯さ、タウヒード信仰[19]の完全さ、人格の高潔さを見習うことも必要です。そして私たちに遣わされ、また全人類と全世界に遣わされた最終かつ最良の使徒ムハンマド(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)が携えてきたイスラーム法も実践しなければなりません。

    至高のアッラーは仰られました:-信仰(イーマーン)する者たちよ、アッラーとその使徒と、かれ(アッラーのこと)がその使徒に下した啓典と、それ以前に下した全ての啓典を信仰せよ。アッラーとその諸天使と諸啓典、諸使徒と来世を信じない者は、実に遥か遠くに迷い去っているのだ。,(クルアーン4:136)

    ● 諸預言者と使徒たちへの信仰における成果:

    1-偉大かつ荘厳なるアッラーの、しもべに対するご慈悲とご配慮を知ること。かれは人々を彼らの主への崇拝へと導き、またいかにかれを崇拝するかという手法を教えるために遣わしたのです。

    2-この恩恵に対するアッラーへの讃美と感謝の念。

    3-度を越さない範囲での彼らへの愛情と賞讃。彼らはアッラーからの御使いであり、かれへのイバーダ(崇拝行為)に勤め、彼のメッセージを伝達し、そのしもべたちに対し多くの助言をしたのです。

    [1] 訳者注:「8.イーマーンとイーマーンの諸特質」の項参照。

    [2] 訳者注:「ターグート」に関しては「2.タウヒードの種類」参照。

    [3] 訳者注:「4.シルク」の項参照。

    [4] 別のハディースに依拠した真正な伝承。ムスナド・アフマド(22644)、アッ=タバラーニー(217/8)。アッ=スィルスィラト・アッ=サヒーハ(2668)参照。

    [5] サヒーフ・アル=ブハーリー(3340)、サヒーフ・ムスリム(194)。

    [6] 訳者注:「ターグート」に関してはに関しては「2.タウヒードの種類」参照。

    [7] 訳者注:「ターグート」に関してはに関しては「2.タウヒードの種類」参照。

    [8] 訳者注:いわゆる主性。つまりこの世の創造や管理、所有や支配などに関する権威。

    [9] 訳者注:いわゆる神性。つまり真に崇拝されるべき権威。

    [10] 訳者注:「8.イーマーン」の項参照。

    [11] サヒーフ・アル=ブハーリー(6730)、サヒーフ・ムスリム(1757)。

    [12] サヒーフ・アル=ブハーリー(3570)。

    [13] サヒーフ・アル=ブハーリー(4586)、サヒーフ・ムスリム(2444)。

    [14] 真正な伝承。ムスナド・アフマド(27)。サヒーフ・アル=ジャーミァの(5201)参照。

    [15] 真正な伝承。スナン・アブー・ダーウード(1047)、サヒーフ・スナン・アブー・ダーウード(925)。

    [16] 伝承経路は良好。ムスナド・アブー・ヤァラー(3425)、アッ=スィルスィラト・アッ=サヒーハ(621)参照。

    [17] サヒーフ・ムスリム(2375)。

    [18] 訳者注:「8.イーマーン」の項参照。

    [19] 訳者注:「1.タウヒード」の章参照のこと。