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放牧して育てたある種の家畜は一定の数に達すれば、ザカーの対象となります。ここではその具体的な計算の仕方について簡単にご説明します。

    家畜のザカー(浄財)

    ] 日本語 [

    زكاة بهيمة الأنعام

    [اللغة اليابانية ]

    ムハンマド・ブン・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジリー

    محمد بن إبراهيم التويجري

    翻訳者: サイード佐藤

    ترجمة: سعيد ساتو

    校閲者: ファーティマ佐藤

    مراجعة: فاطمة ساتو

    海外ダアワ啓発援助オフィス組織(リヤド市ラブワ地区)

    المكتب التعاوني للدعوة وتوعية الجاليات بالربوة بمدينة الرياض

    1429 – 2008

    ③家畜のザカー(浄財)

    ● 家畜とは:ラクダ、牛、羊あるいは山羊のことです。

    ● 家畜のザカーに関して:

    家畜のザカーには2つの場合があります:

    1-1年、あるいは1年の半分以上、合法的な土地に放牧した家畜。

    それぞれ規定の最低法的基準数に達し所有後1年が経過したら、搾乳用であれ種付け用であれ、あるいは食肉用であれ、ザカーが課されます。

    尚ザカーとして拠出するものは所有している最良のものでも最低のものでもなく、中位のものを選ぶようにします。

    2-放牧ではなく自分の農園から、または購入して、あるいは自分で収集して食物を与えた家畜。

    もしこれらの家畜(この場合ラクダと牛と羊に限りません)が商売用で所有後1年が経過したら、それらの価値を算定します。そしてザカーの最低法的基準数に達していたら、2.5%のザカーを支払います。

    しかしもしそれらの家畜が搾乳用や種付け用で商売用でなければ、ザカーは要求されません。

    ● 羊、あるいは山羊のザカーにおける最低法的基準数は40頭、牛のそれは30頭、そしてラクダのそれは5頭です。

    ● 羊あるいは山羊のザカーにおける最低法的基準数:

    頭数

    払うべきザカーの種類と定数

    40頭以上120頭以下

    羊1頭

    121頭以上200頭以下

    羊2頭

    201頭以上399頭以下

    羊3頭

    頭数がこれ以上の場合、100頭増える毎に羊1頭のザカーが加算されます。つまり399頭の場合は羊3頭ですが、400頭に達したら羊4頭、499頭の場合はやはり羊4頭、といった具合です。

    ● 牛のザカーにおける最低法的基準数:

    頭数

    払うべきザカーの種類と定数

    30頭以上39頭以下

    1歳の雄牛あるいは雌牛1頭

    40頭以上59頭以下

    2歳の雌牛1頭

    60頭以上69頭以下

    1歳の雄牛あるいは雌牛2頭

     つまり30頭増える毎に1歳の雄牛あるいは雌牛が、そして40頭増える毎に2歳の雌牛が加算されます。

     例えば50頭の場合は2歳の雌牛1頭ですが、70頭(30+40)の場合は1歳の雄牛あるいは雌牛と2歳の雌牛1頭、100頭(40+60)の場合は1歳の雄牛あるいは雌牛が2頭と2歳の雌牛1頭、そして120頭(30+30+30+30、あるいは40+40+40)の場合は1歳の雄牛あるいは雌牛が4頭か、あるいは2歳の雌牛3頭をザカーとして支払うことになります。

    ● ラクダのザカーにおける最低法的基準数:

    頭数

    払うべきザカーの種類と定数

    5頭以上9頭以下

    羊1頭

    10頭以上14頭以下

    羊2頭

    15頭以上19頭以下

    羊3頭

    20頭以上24以下

    羊4頭

    25頭以上35頭以下

    1歳の雌ラクダ1頭

    36頭以上45頭以下

    2歳の雌ラクダ1頭

    46頭以上60頭以下

    3歳の雌ラクダ1頭

    61頭以上75頭以下

    4歳の雌ラクダ1頭

    76頭以上90頭以下

    2歳の雌ラクダ2頭

    91頭以上120頭以下

    3歳の雌ラクダ2頭

     頭数が121頭以上に達した場合、40頭増える毎に2歳の雌ラクダ1頭、50頭増える毎に3歳の雌ラクダ1等が加算されます。

     つまり121頭(40+40+40)の場合は2歳の雌ラクダ3頭、130頭(40+40+50)の場合は2歳の雌ラクダ2頭と3歳の雌ラクダ1頭、150頭(50+50+50)の場合は3歳の雌ラクダ3頭、160頭(40+40+40+40)の場合は2歳の雌ラクダ4頭、180頭(40+40+50+50)の場合は2歳の雌ラクダ2頭と3歳の雌ラクダ2頭、200頭(40+40+40+40+40、あるいは50+50+50+50)の場合は2歳の雌ラクダ5頭か3歳の雌ラクダ4頭、といった具合です。

     尚2歳の雌ラクダをザカーとして課されたもののそれを所有していない場合、1歳の雌ラクダをザカーの補填と共に支払うか、あるいは3歳の雌ラクダを支払ってザカーの補填を受給します。ザカーの補填とは羊2頭か20ディルハムのいずれかですが、これはラクダのザカーのみに適用されます。

    ● ザカーの定量:

     1-羊あるいは山羊のザカーの場合に支払われるのは、6ヶ月の羊か、あるいは1歳の山羊です。

     2-ザカーの際に支払われるのは牛のザカーを除き、常に雌の家畜です。尚2歳、3歳、あるいは4歳の雄ラクダは2歳の雌ラクダ1頭の代わりとして払うことが出来ます。また所有している家畜が全て雄であるような場合、雄をザカーとして支払うことが可能です。

    ● ザカーが課せられることを恐れて家畜の群れを合流させたり分裂させたりすること:

    家畜に関して、ザカーが課せられることを恐れるがゆえに元々別の群れを1つにまとめたり、あるいは元々1つの群れだったものを複数の群れに分けたりしてはなりません。

    例えばザカーの徴収人の目をごまかすために、40頭からなる羊の群れを所有する者がそれを2つ以上の群れに分けて別々の場所に配置したり[1]、あるいは各々40頭の羊の群れを所有する3人がザカーの徴収人を騙すために一時的に群れを合流させて120頭からなる1つの群れに見せかけたりすること[2]などは禁じられた策略です。

    ● ザカーの徴収人は妊娠中のものや種付け用のもの、子供を授乳中のものや食用の丸々と太っているものなど貴重なものからザカーを取らないようにし、家畜の群れの中から中位の質のものを取るようにします。これは家畜だけではなく、別のザカーに関しても適用される基本です。

    [1] 訳者注:例えば40頭の羊の群れには本来羊1頭のザカーが課されますが、それを20頭からなる2つの群れに見せかければ、そのいずれにもザカーは課されないことになります。

    [2] 訳者注:例えば40頭からなる羊の群れを有する3人の者には、本来各々羊1頭ずつのザカーが課せられます。しかしそれらを合流させて1つの群れであるように見せかければ、それ全体に羊1頭のザカーし欠かされないことになり、その結果ザカーの負担を3分の1に軽減できます。