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事例の基準分割とは、相続分の分割が相続人に端数なしで分配されるべく、相続分の分割率において最小公倍数を求めることです。

    4事例の基準分割

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    تأصيل المسائل

    [اللغة اليابانية ]

    ムハンマド・ブン・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジリー

    محمد بن إبراهيم التويجري

    翻訳者: サイード佐藤

    ترجمة: سعيد ساتو

    校閲者: ファーティマ佐藤

    مراجعة: فاطمة ساتو

    海外ダアワ啓発援助オフィス組織(リヤド市ラブワ地区)

    المكتب التعاوني للدعوة وتوعية الجاليات بالربوة بمدينة الرياض

    1429 – 2008

    4-事例の基準分割

    ● 事例の基準分割とは:相続分の分割が相続人に端数なしで分配されるべく、相続分の分割率において最小公倍数を求めることです。

    ● 基準分割の利益:相続分の基準分割数を知り、遺産分配を容易にすることです。

    ● 相続人の事例には3つの状況が考えられます:

     全ての事例の相違は、相続人の組み合わせの相違によって発生します:

    1-相続人が全て変動相続する者であれば、事例の基準分割数はその頭数と同様になります。但し男女が共同相続する場合、男女の相続の比率が2:1となることに気を付けなければなりません。

    例えば故人が残したのが息子1人と娘1人であった場合、この事例の基準分割数は3となります。そして息子がその内の2を取り、娘は1を取ります。

    2-もしその事例が1人の固定相続人とその他の変動相続人からなっていたら、基準分割数はその固定相続人の相続率となります。

    例えば故人が妻1人と息子1人を残したとしたら、この事例の基準分割数は8となります[1]。そしてその内の1を妻が固定相続し、残りの7を息子が変動相続することになります。

    3-一方変動相続人の有無に関わらず複数の固定相続人が含まれる事例の場合、まず各固定相続人の相続率の関係が「①共通(同分母)」「②重複(いずれかの者の相続率が各相続率間の最小公倍数である場合)」「③符号(各相続率間に最小公約数が含まれている場合)」「④相反(前出の3つのいずれにも当てはまらない場合)」の4種の内のどれにあてはまるかを検証します。そしてその結果が事例の基準分割数となるのです。

    相続人の相続率は2分の1、4分の1、6分の1、3分の1、8分の1、3分の2のいずれかとなります。そして「①共通(同分母)」の場合の基準分割数は自明ですが、「②重複(いずれかの者の相続率が各相続率間の最小公倍数である場合)」の場合は各相続率の中で最大のものを基準分割数とし、「③符号(各相続率は異なるものの、それらの間に共通する最小公約数が含まれている場合)」の場合は各相続率の最小公約数を用いて基準分割数を求めます。また「④相反(前出の3つのいずれにも当てはまらない場合)」の場合には、各相続率の最小公倍数を求めることによって基準分割数を決定します。

    以下に各例を挙げてみましょう:

    1-「共通(同分母)」:2分の1と2分の1。

    2-「重複(いずれかの者の相続率が各相続率間の最小公倍数である場合)」:2分の1と6分の1。

    3-「符号(各相続率間に最小公約数が含まれている場合)」:6分の1と8分の1。

    4-「相反(前出の3つのいずれにも当てはまらない場合)」:3分の1と4分の1。

    ● 固定相続人の間の事例の基準分割数は7通りです:

    ① 2

    ② 3

    ③ 4

    ④ 6

    ⑤ 8

    ⑥ 12

    ⑦ 24

    ● 固定相続人が各々の相続分を取った後に残余分が生じた場合、変動相続人がいなかったらそれを各相続人にその相続率に応じた形で変換します(但し夫と妻はこの権利を有しません)。下に例を示しましょう:

     例題:故人が、夫と娘1人を残して他界しました。

    相続人

    相続人の

    相続率

    相続分の

    分割における共通項

    相続人の

    取り分

    備考

    4分の1

    4

    1

    固定相続

    娘1人

    2分の1

    2+1

    固定相続

    +残余分の

    返還

    [1] 訳者注:この事例での妻の相続分が8分の1であるためです。