イァティカーフ(お篭り)
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イァティカーフ(お篭り)
﴿ الاعتكاف ﴾
] 日本語– Japanese – ياباني [
ムハンマド・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジュリー
翻訳 : サイード佐藤
校閲 : ファーティマ佐藤
2007 - 1428
﴿ الاعتكاف ﴾
« باللغة اليابانية »
محمد بن إبراهيم التويجري
ترجمة: سعيد ساتو
مراجعة: فاطمة ساتو
2007 - 1428
⑥イァティカーフ(お篭り):
● イァティカーフとは:男女とも各々決まった形に従って、至高のアッラーへの服従行為としてモスクに留まることです。
● イァティカーフは至高のアッラーへのイバーダ(崇拝行為)と、かれとの交流のために自らを束縛し、被造物との関係を一旦絶ちます。そして偉大かつ荘厳なるアッラーのズィクル(念唱)の障壁となるような全てのことから、心を解き放つのです。
● イァティカーフの位置づけ:
イァティカーフはいつでも行うことが出来、サウム抜きでも有効です。またイァティカーフをする誓いを立てたら、それを遂行することが義務となります。ラマダーン月のイァティカーフはスンナですが、その中でも最後の10日間のそれはより推奨されています。
イァティカーフをするにあたっては、(マッカの)ハラーム・モスクか(マディーナの)預言者モスク、あるいは(エルサレムの)アル=アクサー・モスクが他のモスクでのそれよりも優れていますが、もしハラーム・モスクなど階位の高いモスクでイァティカーフすると決めた場合は、その代わりにその他のモスクでそれを遂行することは出来ません。しかしもし階位の低いモスクでイァティカーフすることを決めた場合は、その後にそれより高い階位のモスクでのイァティカーフに変更することが出来ます。
● イァティカーフを有効なものとするための諸条件として:居留するモスクが、金曜礼拝の行われるモスクでなくてはいけません。サウムを随伴することがより望ましく、グスル[1]を要するような大きな汚れの状態にある者や月経中、あるいは産後の出血が見られるような者はイァティカーフすることが出来ません。但しイスティハーダ[2]の状態にある者は、イァティカーフすることが可能です。
● 最良のモスクは(マッカの)ハラーム・モスクで、そこでのサラー(礼拝)は通常のモスクでのそれの100000倍の報奨があります。それに次ぐのが(マディーナの)預言者モスクで、そこでのサラー(礼拝)は通常のモスクでのそれの1000倍の報奨があります。そしてその次に来るのが(エルサレムの)アル=アクサー・モスクですが、そこでのサラー(礼拝)は通常のモスクでのそれの250倍の報奨があります。
● サラー(礼拝)やイァティカーフを前述の3つのモスクの内のどれかですると誓った者は、既に説明したような階位の順序を遵守して行わなければなりません。一方それ以外のモスクでサラーやイァティカーフをすると誓った者は、イスラーム法的に特別な相違がない限り、どこのモスクでもそうすることが出来ます。
● イァティカーフの始まりと終わり:
1-ある時期にイァティカーフすると誓った者は、その期間の最初の晩の日没前にモスクに入るようにします。そして出る時は、最後の日の日没後に出るようにします。そして例としてこのように言います:「ラマダーン月の1週間、イァティカーフすることを自らに課します。」
2-ラマダーン月の最後の10日間にイァティカーフしようとする者は、ラマダーン月21日目の晩の日没前からモスクに入ります。そしてラマダーン月の最後の日の日没後に、モスクを出ます。
● イァティカーフする者が行うこと:
イァティカーフする者は、クルアーンの読誦やズィクル(念唱)、ドゥアー(祈願)、罪の赦しを乞うこと、任意のサラー(礼拝)、タハッジュド[3]などのあらゆるイバーダ(崇拝行為)に専念し努力したり、無用なことに関する言動を慎んだりすることが推奨されています。
● イァティカーフする者は用便やウドゥー[4]、金曜礼拝、飲食、病人のお見舞い、両親や親戚など本人にとって義務性を帯びる葬儀の礼拝への参列などにおいて、モスクから外出することを許されています。
● 女性はイァティカーフ中の夫を訪問し、会話することが出来ます。また家族や友人なども同様です。
● イァティカーフするに最適な時期:
イァティカーフするに最適な時期は、ラマダーン月の最後の10日間です。そしてイァティカーフを10日間完遂すると誓っていない限り、それを中断したり、そのうちの何日間かを抜かしたりしても問題はありません。
● ラマダーン月の最後の10日間にイァティカーフすることは、男女の別なくスンナです。
アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は至高のアッラーに魂を召されるまで、ラマダーン月最後の10日間のイァティカーフを欠かしませんでした。そして彼の(死)後、彼の妻たちもイァティカーフを始めました。(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[5])
● 女性は後見人の許可を得、月経や産後の出血から清浄な状態であり、かつそうすることで何も問題が起きないような環境が整っているのであれば、モスクでイァティカーフすることが出来ます。その間は男性を避け、女性専用の場所に留まらなければなりません。
● 用事もなく外出したり、性交したり、棄教したり、酩酊状態になったり、あるいは女性に月経や産後の出血が見られたりしたら、イァティカーフは無効となります。
● イァティカーフの際に関わらず、男女がモスクで寝泊りすることは許されています。
● ライラト・アル=カドゥル[6]はラマダーン月最後の10日間のどれかにあたりますが、その内の奇数日である可能性が高く、また27日目である可能性が高いと言われています。ラマダーン月最後の10日間にはイァティカーフをし、ライラト・アル=カドゥルを求めてイバーダに励むのがスンナです。
● イァティカーフの期間:
イァティカーフは昼夜を問わず、いかなる期間でも日数でも行うことが出来ます。
1-ウマル・ブン・アル=ハッターブ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、彼はこう言いました:「“アッラーの使徒(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)よ、私はジャーヒリーヤ[7]時代に、ハラーム・モスクで1晩イァティカーフすることを誓いました。”すると預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は彼にこう言いました:“誓いを守るのだ。”それで彼はイァティカーフしました。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[8])
2-アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)はラマダーン月(最後)の10日間のイァティカーフを欠かしませんでした。但し彼の魂が召された年には、20日間のイァティカーフをしました。」(アル=ブハーリーの伝承[9])
[1] 訳者注:心身の清浄化を意図した全身の洗浄。
[2] 訳者注:月経によるものではない、出血のこと。
[3] 訳者注:深夜に任意で行う礼拝。普通は一旦寝た後に、そのために深夜に起き上がってする礼拝のことを言います。一方キヤーム・アッ=ライル(夜中にする任意のサラー)はもっと広い意味で用いられ、夜全般に渡って行われる任意の礼拝全てを指します。
[4] 訳者注:イスラームにおいて定められたある一定の形式における、心身の清浄化を意図した体の各部位の洗浄。
[5] サヒーフ・アル=ブハーリー(2026)、サヒーフ・ムスリム(1172)。文章はアル=ブハーリーのもの。
[6] 訳者注:「ライラト・アル=カドゥル」はラマダーン月最後の10日間の内のどれか、あるいは最後の7日間のどれかであるなどという伝承があり、諸説あります。アッラーはこの夜、アッ=ラウフ・アル=マハフーズ(護られた碑板)から向こう1年分の諸事をお望みのままに定められますが、預言者ムハンマド(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)にクルアーンを啓示されるべく、それをアッ=ラウフ・アル=マハフーズから天の最下層にまで下されたのがこの夜のことでした。この夜は天を昇り降りする天使で世界中が満たされると言われます。クルアーン97章参照のこと。
[7] 訳者注:イスラーム以前の無明時代のこと。
[8] サヒーフ・アル=ブハーリー(2042)、サヒーフ・ムスリム(1656)。文章はアル=ブハーリーのもの。
[9] サヒーフ・アル=ブハーリー(2044)。