賃貸
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賃貸
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الإجارة
[اللغة اليابانية ]
ムハンマド・ブン・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジリー
محمد بن إبراهيم التويجري
翻訳者: サイード佐藤
ترجمة: سعيد ساتو
海外ダアワ啓発援助オフィス組織(リヤド市ラブワ地区)
المكتب التعاوني للدعوة وتوعية الجاليات بالربوة بمدينة الرياض
1429 – 2008
14-賃貸
● 賃貸とは:何らかの明確な代替物と引き換えに、一定期間の間何らかの合法的で明確な利益を得るところの契約のことです。
● 賃貸の法的位置づけ:
賃貸は契約者同士にその遂行が義務付けられる類の契約であり、「あなたに賃貸します」とか「あなたに貸します」とかいった、通常それを示すことが可能ないかなる言葉によっても成立可能です。
● 賃貸が合法とされたことに潜む英知:
賃貸によって、人々は相互に利益を交換することが出来ます。
そして人々は仕事のために雇用者を、住居のために家を、運搬や移動や諸々の利益のために家畜や車や機械類を必要としています。このような中でアッラーは人々に対する融通のため、そして彼らが僅かな出費で互いの需要を満たし合うことが出来るよう、賃貸を合法とされたのです。実にかれにこそ、全ての讃美と恩恵が属しています。
● 賃貸の種類:
賃貸には2種類あります:
1-「何某と引き換えに、この家、あるいは車両をあなたに賃貸します」というように、何らかの明確な物における賃貸。
2-壁を立てたり、耕作をさせたりするために人を雇うことに挙げられるように、何らかの明確な仕事における賃貸‐つまり雇用のことです。
● 賃貸の条件:
賃貸には以下のような諸条件があります:
1-契約者が管理・処分権を有していること。
2-住居に住むことや人の労力といった、契約の対象となる利益が明確であること。
3-賃貸料、あるいは賃貸に対する代替物が明確であること。
4-住むための住居など、契約の対象となる利益が合法であること。ゆえに酒類の商売や娼家、異宗教のための崇拝施設や禁じられた物の商売などの非合法な利益のために建物や土地を賃貸する契約は無効となります。
5-賃貸の対象となる物が視覚か説明によって認知され、かつその対象から受ける利益において契約がなされるのであり、その対象そのものにおける契約ではないこと。またそれが受け渡し可能な物であり、合法的な利益のみによって成立しており、それを賃貸する者がそれを所有しているか、あるいはその管理と処分を委任されていること。
● 借りた物を更に誰かに貸すことについて:
賃借人は借りている物を自ら利用することも出来れば、あるいはその利用において自らと同様の者かあるいはそれ以下の者‐それ以上の者であってはなりません‐にそれを貸して利用させることが出来ます[1]。
● 通常の料金を払うことに関して:
契約を結ぶことなしに飛行機や車や船に乗ったり、または衣類を裁縫屋に頼んだり、あるいは物の運搬を依頼したりする際には、払う代金が通常の料金であれば有効となります。このように慣例化し、通常化されかつ周知のものとなった料金に関しては、契約がなくとも全て有効なものとなります。
● ワクフ(財産寄進された物)の賃貸について:
ワクフ(財産寄進された物)の賃貸は合法です。
それでもし賃貸人が死亡したら、その権利はその相続人(あるいは遺言で譲渡した者)に移転し、契約は破棄されずにそのまま続行します。そして賃貸人の後を継いだ者は、その賃貸料から相応のものを得るのです[2]。
● 売買が非合法である物は全て、賃貸借も非合法です。但しワクフ(財産寄進された物)と自由民、自らの子供を産んだ奴隷女性[3]はその限りではありません。
● いつ料金を支払うべきか?
代金は契約で義務付けられ、そしてその支払いは時間の経過と共に義務付けられます。そしてもし両者がその遅延や前倒し、あるいは分割などにおいて合意するならば、それは合法です。
また雇われた者は、その仕事を首尾よく完遂した後に賃金を受領する権利を得ます。そしてその汗が乾く前に[4]、賃金を支払わなければなりません。
アブー・フライラ(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「至高のアッラーは仰られた:“(次の者たちは、)われが審判の日に敵対者となるであろう:わが御名のもとに約束しておいて、騙す者。また自由民を売り、その利益を貪る者。そして人を雇い、その者が(依頼した)仕事を完遂したにも関わらず、賃金を支払わない者。”」(アル=ブハーリーの伝承[5])
● 賃貸物の売却に関して:
住居や車両など、賃貸物を売却することは合法ですが、それは賃貸期間と賃借人の賃貸物における利用が終了してからでなければなりません。
● 賃貸物の保障に関して:
賃借人、あるいは雇用された者は、彼がそこにおいて何らかの義務の遂行をおろそかにしたりせず、またすべきではないことも行ったりはしなかった限りにおいて、彼の手元で発生した損失を保障する責任を問われません。
また女性が夫の許可を得ずに雇用されたり、他人の子供に授乳したりすることは許されません。
● 教育やモスクの建設などのために賃金を得ることは合法です。
● アッラーへのお近づきのための行為において収入を得ることに関して:
モスクのイマーム、ムアッズィン(アザーンをする者)、クルアーンを教える者は、国庫から収入を得ることが許されています。そしてそれらの仕事を至高のアッラーゆえに行う者はそれゆえに収入を得ていたとしても、来世における報償を得ることが出来るでしょう。またそのような者たちが国庫から得る日々の糧はあくまで彼らの服従行為への補助的意味であり、彼らの行う仕事に対する代償や賃金というわけではありません。
● ムスリムが非ムスリムに雇用されることについて:
以下の条件に反しない限りにおいて、ムスリムは非ムスリムに雇用されることが許されます:
1-仕事の内容がムスリムにとって合法なものであること。
2-ムスリムへの害悪につながることにおいて非ムスリムを援助しないこと。
3-仕事の内容にムスリムにとって不名誉なことがないこと。
● ムスリムが見つからないなどの必要に迫られた場合には、ムスリムは非ムスリムを雇うことが許されます。
● 非合法な物事を取り扱う者に対する賃貸に関して:
賃貸した店舗や建物などにおいて非合法な売買取引をしようとする者に、それらを賃貸することは非合法です。具体的には以下のようなケースが例として挙げられます:
①非合法な遊具やふしだらな映像、不道徳な写真など非合法な売買取引をする者。
②リバー[6]を取り扱う銀行。
③酒類の醸造工場。
④売春やそれに準じるような行いをする者。
⑤煙草屋や男性のあごひげを剃るような店、歌謡曲のオーディオ類を取り扱う店。
至高のアッラーはこう仰られました:-そして善行と(アッラーの懲罰から身を守る)服従行為において互いに助け合うのだ。そして悪や憎しみにおいて互いに助け合ってはならない。そしてアッラー(のお怒りや懲罰の原因となるような事柄)から身を慎むのだ。実にアッラーは、その懲罰の厳しいお方である。,(クルアーン5:2)
● 立ち退き料について:
住宅や店などは、人気のある場所に位置していることがあります。このような場合、所有者は賃借人との賃貸契約期間が終了する前に、残りの賃貸契約期間分の賃貸料‐あるいはそれ以上の見返り‐を返却することを条件に賃借人の立ち退きを求めることが出来ます。
● 違約金:
人々の契約の中で取り交わされる違約金に関する条件は、その履行義務が要求されるところの有効で正しい法的条件です。それは契約が規定の時間内に履行されることに関して許されている条件のことで、人々の権利の蹂躙や混乱を招くような物事への回避策でもあります。具体例としては次のような条件が挙げられます:建築業者と向こう1年間の内に、1000万円で住宅を建築させる契約を結びましたが、その際に「もし1年経過しても完成しなかったら、その場合は完成するまで毎月10万円の違約金を支払う」と条件付けました。そして住宅の完成は特に合法的な理由もなしに、規定の期間よりも4ヶ月遅延しました。この場合住宅の所有者は定めた条件に基づき、業者から40万円の違約金を受け取る権利があります。
但し契約履行の遅延に合法的な理由がある場合は、条件付けられた義務の履行は要求されません。また定めた条件が常識的な見地から見て法外であるような場合は裁判官[7]のもとに赴き、契約履行の遅延によって生じた損害に応じた公正な審判を仰ぐべきです。
[1] 訳者注:例えば住居用に借りた家を他の誰かに住居用、あるいはそれ以下の用途のために貸すことは出来ますが、それを工場などの用途のために貸すことは出来ません。
[2] 訳者注:例えば家の賃借人が賃貸料を滞納している間にその賃貸人が死亡してしまったような場合、彼を継いでその家の所有者となった者はその未払いの賃貸料を得る権利があるということです。
[3] 訳者注:無論のこと自由民は売買の対象とはなりませんが、労働や技術の提供などを雇用の形で売買の対象にすることは出来る、という意味です。また現在では奴隷は存在しませんが、仮に自らの所有する奴隷女性が自分の子供を産んだ場合、自由民の場合と同様に彼女を売買の対象とすることは出来ません。
[4] 訳者注:つまり不必要に賃金の支払いを遅らせずに、出来るだけ早く支払うことを意味しています。
[5] サヒーフ・アル=ブハーリー(2270)。
[6] 訳者注:詳しくは「④リバー」の項を参照のこと。
[7] 訳者注:イスラーム法で裁く裁判官のことです。そのような機関が存在しない非ムスリム国や地域に居住するムスリムは、そこにおけるイスラーム的権威である学者やイマームなどに依拠することになります。