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息子や兄弟などの不規則な形で相続する変動相続人の諸規定について、見て行きましょう。

    2変動相続

    ] 日本語 [

    العصبة

    [اللغة اليابانية ]

    ムハンマド・ブン・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジリー

    محمد بن إبراهيم التويجري

    翻訳者: サイード佐藤

    ترجمة: سعيد ساتو

    校閲者: ファーティマ佐藤

    مراجعة: فاطمة ساتو

    海外ダアワ啓発援助オフィス組織(リヤド市ラブワ地区)

    المكتب التعاوني للدعوة وتوعية الجاليات بالربوة بمدينة الرياض

    1429 – 2008

    2-変動相続

    ● 変動相続とは:規定されていない形での不規則な相続です。

    ● 変動相続には2種類あります:

    ① 親族関係による変動相続

    ② 行為の原因による変動相続

     1-親族関係による変動相続:これには3種類あります:

    ① 独立して変動相続する者:

    これは夫と異父兄弟以外の全ての男性相続人です:

    ① 息子

    ② 孫息子とその男性卑属

    ③ 父親

    ④ 祖父とその男性尊属

    ⑤ 同父母の兄弟

    ⑥ 異母兄弟

    ⑦ 同父母の兄弟の息子及びその男性卑属

    ⑧ 異母兄弟の息子及びその男性卑属

    ⑨ 父親と同父母の兄弟(つまり伯叔父)

    ⑩ 父親の異母兄弟(つまり伯叔父)

    ⑪ 父親と同父母の兄弟(つまり伯叔父)の息子及びその男性卑属

    ⑫ 父親の異母兄弟(つまり伯叔父)の息子とその男性卑属

    ⑬ 奴隷の解放主である男性

        ● 上記の者たちは単独の場合、全遺産を相続します。そして固定相続人と共にある場合は、彼らが自分たちの相続分を取った後の残余分を得ます。もし固定相続人に全遺産が分配されてしまった場合、変動相続人の相続分はなくなります。

        ● 変動相続人と故人との親族関係は、以下の順番においてより近親であると見なされ、かつ遺産に関しても優先権があります(無論全て男性です):

    ①  直系卑属

    ②  直系尊属

    ③  兄弟とその卑属

    ④  伯叔父とその卑属

    ⑤  奴隷を解放した男性

        ● 遺産の分配に2人以上の変動相続人が集まったら、いくつかのケースが考えられます:

    1-それらの変動相続人が、近親性(上記参照)、親等、血の濃さにおいて同等である場合:つまり2人の子供や2人の兄弟、2人の伯叔父といったような場合です。このような時には、彼らの間で遺産を均等に分割します。

    2-それらの変動相続人が、近親性と親等においては同等であっても、血の濃さにおいては異なっている場合:例えば父親と同父母の兄弟(伯叔父)と父親の異母兄弟(伯叔父)では前者の方が優先され、後者を排除して遺産を獲得します。

    3-それらの変動相続人が近親性においてのみ同等で、親等と血の濃さにおいては異なっている場合:例えば息子と息子の息子(孫)では親等において前者が後者に勝るため、遺産は息子のものとなります。

    4-それらの変動相続人が、近親性において異なっている場合:このような場合には親等上近いか遠いかは問題にせず、近親性においてより勝っている者を優先します(その優先順位は上記参照のこと)。ゆえに息子の息子(孫)は親等的には父親より劣ってはいるものの、近親性においては勝っているため、遺産を獲得します。また異母兄弟の息子は、父親と同父母の兄弟(伯叔父)よりも優先されます。

        ● 男性の内以下の4種の者は、姉妹と共に共同で変動相続します(男女の相続の比率は2:1)が、固定相続の場合には姉妹の遺産相続を阻みます:

    ① 息子

    ② 息子の息子(孫)とその卑属

    ③ 同父母の兄弟

    ④ 異母兄弟

          ちなみに上記の4種以外の変動相続者に関しては、男性が女性の遺産相続を常に阻みます。そして彼らは以下の通りです:

    ① 兄弟の男性卑属

    ② 伯叔父とその男性卑属

    ② 外的要因によって変動相続する者:

    これは以下に挙げる4種の女性です:

    ① 娘(単数複数を問わず):息子(単数複数を問わず)との共同相続。

    ② 息子の娘(単数複数を問わず):息子の息子(単数複数を問わず)との共同相続。

    ③ 同父母の姉妹(単数複数を問わず):同父母の兄弟(単数複数を問わず)との共同相続。

    ④ 異母姉妹(単数複数を問わず):異母兄弟(単数複数を問わず)との共同相続。

         いずれの場合も、男女の相続の比率は2:1となります。彼らには固定相続の取り分を差し引いた後の残余分が与えられますが、もし全遺産が固定相続人のみで分配されてしまったら、何の取り分もないことになります。

         1-至高のアッラーは仰られました:-アッラーはあなた方に、あなた方の子供(の相続)に関して(このように)命じられる:男子には、(その姉妹である)女子の倍の取り分がある。・・・,(クルアーン4:11)

         2-至高のアッラーは仰られました:-そしてもし彼らが男女からなる兄弟姉妹であれば、男子には女子の倍の取り分がある。(このように)アッラーはあなた方が道を誤らないよう、あなた方につまびらかにして下さる。アッラーは全てをご存知の方であるのだ。,(クルアーン4:176)

    ③ 他人と共に変動相続する者:

         これには以下に示すように、2種類あります:

    ① 同父母の姉妹(単数複数を問わず):娘(単数複数を問わず)、または息子の娘(単数複数を問わず)、あるいはその全員との共同相続。

    ② 異母姉妹(単数複数を問わず):娘(単数複数を問わず)、または息子の娘(単数複数を問わず)、あるいはその全員との共同相続。

         このように、姉妹は常に娘や息子の娘及びその女性卑属と共同相続する関係にあります。彼女(たち)には固定相続の取り分を差し引いた後の残余分が与えられますが、もし全遺産が固定相続人のみで分配されてしまったら、何の取り分もないことになります。

        ● 同父母の姉妹は他の者と共同相続することから、同父母の兄弟と同様にある種の相続人の相続を阻止することがあります。例えば同父母の姉妹は、男女を問わず異母兄弟姉妹とその卑属が居合わせた場合、彼らの相続する機会を奪ってしまいます。

          また異母姉妹もまた他の者と共同相続することから、異母兄弟と同様にある種の相続人の相続を阻止することがあります。例えば異母姉妹は、兄弟の息子とその男性卑属が居合わせた場合、彼らの相続する機会を奪ってしまいます。

     2-行為の原因による変動相続:これは男女を問わず解放した元奴隷のことです。

       イブン・アッバース(彼らにアッラーのご満悦あれ)によれば、アッラーの使徒(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「その権利のある者に、定められた遺産の分配額を与えよ。そしてもし残ったら、最も近縁の男性に与えるのだ。」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[1]

    [1] サヒーフ・アル=ブハーリー(6732)、サヒーフ・ムスリム(1615)。文章はアル=ブハーリーのもの。