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推奨されている、あるいは任意にすることの出来るサウムについても紹介します。

    任意のサウム

    ﴿ صوم التطوع ﴾

    ] 日本語– Japanese – ياباني [

    ムハンマド・イブラーヒーム・アッ=トゥワイジュリー

    翻訳 : サイード佐藤

    校閲 : ファーティマ佐藤

    2007 - 1428

    ﴿ صوم التطوع ﴾

    « باللغة اليابانية »

    محمد بن إبراهيم التويجري

    ترجمة: سعيد ساتو

    مراجعة: فاطمة ساتو

    2007 - 1428

    ⑤任意のサウム:

    ● サウムには2種類あります:

    ① 義務のサウム:ラマダーン月のサウムです。

    ② 任意のサウム:これにもまた非限定的サウムと限定的サウムの2種類があります。そしてあるものは別のものより優先性が高いのです。任意のサウムには偉大な報奨と、更なるご褒美があります。また義務のサウムの中で生じた欠如や不足などを補う効果もあります。

    ● 任意のサウムの種類:

    1-任意のサウムで最良の形式は、ダーウード(ダヴィデ)のサウムです。つまりそれは1日おきのサウムのことです。

    2-ラマダーン月に次いでサウムするのに最良の月は、アッラーの月ムハッラム月[1]です。

    その中でも10日目、次いで9日目はサウムをすべき日とされています。ムハッラム月10日目のサウムは過去1年の贖罪となりますが、同日にやはりサウムするユダヤ教徒とは相違するために10日目だけではなく9日目もサウムすることが推奨されているのです。

     3-シャウワール月[2]の6日間。

    預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)は言いました:「ラマダーン月をサウムし、次いでシャウワール月に6日間のサウムをする者は、あたかも1年間のサウムをしたかのようである。」(ムスリムの伝承[3]

     シャウワール月6日間の最良の形は、イードの日の直後(つまりシャウワール月2日目から)連続して行うことですが、分散して行うことも出来ます。 

     4-毎月3日間のサウム。これには1年間のサウムに相当する報奨があると言われており、毎月の中でも13日、14日、15日のいわゆるアイヤーム・アル・ビード[4]に行うのがスンナです。あるいは月曜と木曜、そしてその翌週の月曜の3日間というやり方もあります。その場合、月初めにそうしてもあるいは月末にそうしても問題はありません。

     5-毎週月曜日と木曜日のサウム。この2日間、諸々の行いは偉大かつ荘厳なるアッラーに提示されると言われており、ゆえにサウムすることが推奨されます。月曜日は木曜日よりもサウムするのによいとされます。

     6-ズー・アル=ヒッジャ月[5]の最初の9日間のサウム。ハッジ(大巡礼)に参加していない者にとっては、その内「アラファの日」と呼ばれる9日目がサウムするのに最良の日であり、その日のサウムは前後2年間の罪滅ぼしになります。

     7-アッラーの道におけるサウム。

    アブー・サイード・アル=フドゥリー(彼にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「私は、預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)がこのように言うのを聞きました:“アッラーの道[6]において1日サウムする者は、アッラーによってその顔を地獄の業火から70年間(の行程だけ)遠のけられるであろう”」(アル=ブハーリーとムスリムの伝承[7]

     8-シャアバーン月の前半にサウムを多くすることはスンナです。

     アブー・カターダ・アル=アンサーリー(彼にアッラーのご満悦あれ)によれば、預言者(彼にアッラーからの祝福と平安あれ)はサウムについて質問を受けました・・・‐中略‐そして、1日おきのサウムについて訊ねられました。(預言者は)言いました:「“それこそ私の兄弟ダーウード(ダヴィデ)のサウムである。”そして月曜日のサウムについて訊ねられ、こう言いました:“それこそ私が誕生し、私が(使徒として)遣わされ(あるいは「啓示を受け」)た日である。”そしてアラファの日[8]のサウムについて訊ねられると、こう言いました:“(それは)その前と後の2年間の罪滅ぼしになる。”そしてアーシューラーの日[9]のサウムについて訊ねられると、こう言いました:“(それは)その前の1年間の罪滅ぼしとなる。”」(ムスリムの伝承[10]

    ● ラジャブ月[11]全てをサウムすること、及びムスリムの祭日である金曜日のみのサウムは忌避されます[12]

    ● 土曜日と日曜日のサウムは、それらがユダヤ教徒とキリスト教徒の祭日であるため、彼らと相違するという意味で推奨されます[13]。また旅行者であっても、アラファの日とアーシューラーの日にサウムすることは推奨されます。というのも1年に1度のその機会が過ぎ去ってしまえば、その報奨の取り返しは付かないからです。

    ● 2つのイードの日‐イード・アル=フィトゥル(断食明けの祭り)とイード・アル=アドゥハー(犠牲祭)‐のサウムは禁じられています。また、もしかするとラマダーン月に入っているかもしれない、という危惧の念から「疑わしい日」‐シャアバーン30日目‐にサウムすることも禁じられています。またタマットゥ及びキラーン形式[14]でハッジ(大巡礼)を行い、犠牲を捧げることがままならなかった者を除き、アイヤーム・アッ=タシュリーク[15]にサウムすることも禁じられます。加えて1年間通して恒常的にサウムすることは禁じられ、ハッジ参加者がアラファの日にサウムするのは忌避されます。

    ● 夫と共にある女性が、夫の同意を得ずにサウムすることは許されません。一方ラマダーン月のサウムや、あるいはラマダーン月に出来なかったサウムのやり直しで期限が迫っているもの[16]に関しては、夫の同意を必要とはしません。

    ● ラマダーン月にやり残したサウムがあるのに、それを完遂する前にシャウワール月6日間のサウムを行った者は、前述した報奨を得ることが出来ません。件の報奨を得るには、まずラマダーン月にやり残したサウムを済ませてから、シャウワール月6日間のサウムを行うのです。

    ● 任意のサウムを途中で止めることについて:

    任意のサウムを始めても、後のそれを取り消すことは可能です。また任意のサウムのニーヤ(意図)は昼間からでも立てることが出来ます。そして任意のサウムは途中で中止しても、やり直しをする義務はありません。

    アーイシャ(彼女にアッラーのご満悦あれ)は言いました:「ある日預言者(彼にアッラーからの平安と祝福あれ)は、私たちのもとにやって来てこう言いました:“あなた方のところに何か(食べる物は)あるかね?”それで私たちは言いました:“いいえ。”(すると預言者は)言いました:“それでは私はサウムすることにしよう。”それからまた別の日に、彼が私たちのもとにやって来たことがありました。私たちはこう言いました:“アッラーの使徒よ、ハイス[17]を頂きましたよ。”すると(預言者は)言いました:“それを見せてくれ。私は実はサウムをしていたのだが。”そして(彼は)それを食べました。」(ムスリムの伝承[18]

    [1] 訳者注:ヒジュラ暦の1月のこと。

    [2] 訳者注:ラマダーン月の次の月。ヒジュラ暦の10月のこと。

    [3] サヒーフ・ムスリム(1164)。

    [4] 訳者注:太陰暦の1ヶ月の中で、月が満月となりその夜が明るくなる日々。

    [5] 訳者注:ヒジュラ暦12月のこと。

    [6] 訳者注:ここで言うアッラーの道とは、アッラーの宗教ゆえに戦うことを指しています(アン=ナワウィー著サヒーフ・ムスリム解釈より)。

    [7] サヒーフ・アル=ブハーリー(2840)、サヒーフ・ムスリム(1153)。文章はアル=ブハーリーのもの。

    [8] 訳者注:ヒジュラ暦12月の9日目のこと。

    [9] 訳者注:ヒジュラ暦1月の10日目のこと。

    [10] サヒーフ・ムスリム(1162)。

    [11] 訳者注:ヒジュラ暦7月のこと。

    [12] 訳者注:金曜日にサウムする場合には、単独ではなくその前日や翌日も共にサウムするようにすれば、忌避行為とは見なされません。

    [13] 訳者注:祭日にはサウムしないことが常となっていますが、敢えて彼らの祭日にサウムするということです。

    [14] 訳者注:詳しくは「6.ハッジとウムラ」の章を参照のこと。

    [15] 訳者注:ヒジュラ暦12月の11,12,13日の3日間のこと。

    [16] 訳者注:つまり次のラマダーン月が迫っているような場合などです。

    [17] 訳者注:「ハイス」とは、ナツメヤシの実と脂と乾燥させた乳で作った食べ物のことです。

    [18] サヒーフ・ムスリム(1154)。